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空想デイズ

期間限定(?)幻水ティアクライスのプレイメモ&呟きブログ。 女性向けの腐った視点が含まれますのでご注意下さい。 ロベルト贔屓。

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新しい日々/ツァウビュク

そういえばコンプリートガイドにもキャラの年齢は載っていました。
ネタバレしないでひとつだけ・・・あの・・・いや一応予想してたけど心の準備もしてたけど・・・やっぱりツァウベルンが私よりギリギリ年下だった・・・地味にショック。他のキャラは別にいいんだけどなんかツァウベルンは、なんかもう、うん・・・。

気を取り直して!
2周目クリアしたら書きたかったEDその後SS、ツァウビュク編、です。ちょっとようやくCPぽくなってきましたよ!
っていうのは、ツァウベルンは一応、城にいる間は、ビュクセの信頼を得ることを優先して抑え気味にしていたんじゃないかと思うのです。悪戯はするけれど。
話的には「だからこの手に」「だからその手を」から続いている感じですが、城にいる間に勧誘されていた、というのを頭に置いておいて頂ければ十分かと思います。

ライテルシルト本国に戻ってしばらくの間、ゲシュッツ隊長以下、苛烈なる象徴の書に関する任務についていた三名には休暇が与えられた。
長期の任務だったこと、無事に書を持ち帰ったことなどが理由に挙げられたが、帝国が消えた今、急を要する特務もないのだろう。帝国が消えた、という認識さえ、上層部には生まれていないだろうが。
ともあれ、ビュクセにとっても、久しぶりに何もない自由な時間だった。と言っても特にやりたいことや行きたい場所があるわけでもなく、銃の整備と訓練を繰り返す、いつもと変わらない日々だ。
それでも、ありがたくもない、考える時間というものが増えてしまった。
ツァウベルンという偽名を名乗っていたかの貴人が、あの城を離れる前に話していたことの真意を、ビュクセには確かめる術がない。本気だったのか、冗談だったのか、それさえも。
わからないことを考えても仕方がない。本気ならばそのうち声がかかるだろうし、冗談ならば何も起こらない、それだけのことだ。だから、気にしなければいい、以前のビュクセならきっと何も気にせずに毎日を過ごしていただろう。
けれど、もしあの言葉が偽りだったなら。思いつきや気まぐれや社交辞令の類で、国に戻った今きれいさっぱり忘れ去られているのなら。そう考えると、何故かちくりと、胸が痛い。そうして痛む理由も、よくわからずにまたぐるぐると考える。
そんな迷いも、数日のうちに解決した。一人の男が軍に、ビュクセを訪ねてきた。ツァウベルンの使いのものだと名乗り、そう名乗ったことでこれは秘密裡の話なのだとビュクセは悟り、自室に通した。彼は手紙を一通と、書類を一枚携えていた。
手紙には流麗な文字で、本当は自ら赴きたかったのだが諸事情あってそうもいかず、信頼できる人間を送るので詳細は彼から聞いて欲しい、色よい返事を期待している、などという旨が書かれていた。最後に添えられた署名は、ツァウベルンと名乗っていた男の、本来の名。
使いの男は引き抜きに関する詳しい条件を提示し、明日また来ますので考えておいて下さいと言ったが、ビュクセは引き止めてその場で書類にサインをした。いいのですか、訊ねる男に黙って頷いた。
答えはあの時、あの場所で既に出した。条件を見て反故にする気はない。そもそも、断る理由にもならないような好待遇だが。
軍のことも、他の細々したことも、すべてこちらで手配するので貴方は何も気にせず指示を待って下さい、と言い残して男は主のもとへ帰っていった。余計なことはするなという意味も含まれていたようだったが、ビュクセはその晩のうちにゲシュッツに話をした。筋が通らないことは嫌だった。けれどゲシュッツはすでに全て承知していた。あの城を出る前にツァウベルンから話があったと言った。
話しておかないと後で拗ねるだろうと思い、翌日ミーネのところにも赴いたが、彼女もあっさり知ってるわと答え、もっと早くに言ってくれると思ったのにと小言を続けた。
それから数回、ツァウベルン名義の書簡がビュクセの元に届いた。
手続きに時間がかかっている、面倒くさい、早く君に会いたいのに、だとか。
いずれヴェルファー機関は解体されるだろう、そのどさくさに紛れてしまえば君を引き抜くのも楽だけれど、私もそれまで待ってはいられない、だとか。
昨日つい君の夢を見てしまった、手続きも最終段階だ、もうすぐ君が私の元に来てくれるんだね、だとか。
ビュクセは返事を書かなかったが――ツァウベルン様、で本人に届くとも思えない――構わずに送ってきた。もともと、感情表現がオーバーだとは思っていたが、それでもここまで切羽詰った様子なのは、急いで護衛の手を増やしたいほど身の危険を感じるような出来事があったのだろうかと、ビュクセは少し不安になる。しかし、待っていろと言われた以上、ビュクセには何も出来ない。
やがて軍より正式に退役の許可が下りた。多くはない荷物を纏めて、ビュクセは軍を後にした。
永久の別れでもないのだからとひっそりと辞そうとしたが、門の前でゲシュッツとミーネが待っていた。ゲシュッツは緩くビュクセの肩を叩き、頑張れよと柔らかく告げた。黙って行こうとするなんて最低よ、とむくれた顔のミーネが、泣き出しそうな感情を抑え込んで、またねと笑った。
ビュクセにはとてもありがたい、静かな別れだった。


「やあ、ビュクセ君! ようやく来てくれたね」
新しい雇い主は正反対の騒々しさでビュクセを迎え入れた。
「……お久しぶり、です。この度は……」
「堅苦しい挨拶なんてどうでもいい! とにかく入ってくれたまえ!」
広い邸の、その豪奢な執務室までビュクセを案内した女性に目配せをして下がらせて、彼はビュクセを手招きした。
「君を呼び寄せるのに、思ったより時間がかかってしまって悪かったね。もっと強引にやろうと思えば出来たのだけれど、そうすると各方面に顰蹙を買うこともあって、後々の厄介ごとが増えるから。でも本当に、途中で全部投げ出して、君を攫いに行こうかと思ったよ!」
執務机を回り込んでビュクセの前に立ったツァウベルンが、矢継ぎ早に言葉を発した。ビュクセは口を挟むことも出来ずに、黙ってその声を聞いた。ただ、小さな、違和感。
滝のように言葉が流れ出てくることも、楽しげに微笑んでいることも、以前の彼とは何も違わないはずなのに。
「ああ、本当に……会いたかった……」
感嘆に近い呟きを、ツァウベルンが洩らした。そこで、ビュクセはようやく気付く。
偽らないのだ。
どんなに言葉を費やしても、いつも何かを押し隠していたようだった彼が、今はあふれ出す感情をそのままに言葉にしているのだと。
ようやく声を途切れさせたツァウベルンに、ビュクセは何か言おうとして口を開きかけた、瞬間。
「ビュクセ君……!」
感極まったように、ツァウベルンが勢いよくビュクセに抱きついた。ビュクセは驚きのあまり何も出来ずに固まった。ツァウベルンはぎゅっと強く抱き締めたと思ったら、すぐにその腕を外した。それから。
ビュクセの視界が翳って、唇に柔らかいものが触れる。視界を遮ったのがツァウベルンの顔で、唇に触れたのもツァウベルンの唇だ、と遅れて理解した。
「……!?」
口づけられている、と思い至って、咄嗟にツァウベルンの肩を突き放した。強い力ではなかったが、あっけなくその身体が離れた。予想していなかったのか、よろめいた身体を執務机に片手をついて支えて、ツァウベルンは目を瞠っている。
「な、何を」
「……え? あれ?」
動揺したビュクセの言葉に、同じように戸惑ったツァウベルンの声が答える。
「あれ? おかしいな。もしかして、私は何か大きな勘違いをしていたのかな。もちろん、警護隊長の話は君の腕を見込んでのことだけれど、君が私の気持ちを知ってそれでもこの話を受けてくれるのは、てっきり私のことも受け入れてくれるのだと……」
「……何の話だか、わからない」
「…………」
眉根を寄せてぼそぼそと呟くツァウベルンの言葉の意味が、まるでわからなかったのでビュクセは正直にそう言ったが、ツァウベルンは今まで見せたことのない呆然とした表情で口を開けたまま数秒固まった。
「ええ!? 待ってくれ、そこからか!? 今まで私がどれだけ君のことを……いや、言ってない、のかな? おかしいな、ええと……」
衝撃から立ち直れないようで、ツァウベルンは手をついたまま机伝いに椅子へと辿り着き、よろめくように腰を降ろすと、宙を仰いで考え込んだ。自分が何か悪いことを言ったのだろうかと、ビュクセは黙ったままその様子を見守った。
やがて、整理がついたのか、ツァウベルンが深々とした溜め息をついてから、首を傾けてビュクセを見た。
「いや、失礼。私としたことが、とんだ大失敗だったな。君に、ちゃんと伝えていなかった」
「……何を」
「君が好きだと言うことを、だよ」
大きな執務机を挟んで、数秒見つめ合ってしまった。ビュクセの思考が追いついていないことを感じ取って、ツァウベルンが苦笑を浮かべた。
「言葉にしなくても行動では示していたつもりだったけれどね。なんて言っても言い訳でしかないな。さあ、状況が変わった!」
切り換えるように、ツァウベルンが声を張り上げた。
「君の雇い主は君の事が大好きだ。そう、久々の再会に嬉しくなっていきなりキスをしてしまうくらいにね。君はそんなことは知らされていなかったのだから、話が違うと言って怒り出して構わない場面だ。どうする?」
「どう、と言われても……」
「私としては君にこのまま警護隊長に就いて貰いたい。これは私が君を好きだからではなくて、君が適任だと思うからだ。もちろん公私混同をするつもりはない。君が嫌がることはしないし、君が聞きたくもないと言うなら金輪際好きだとも言わない。ただ、私が君を好きだという感情そのものは消せないよ。そんなのは気持ちが悪い、ここにいるのも嫌だと君が言うのなら、それは仕方がない。悪いのは私だから、君は元通り軍に戻れるように手配する。絶対に、君の名に瑕がつくようなことにはしない、約束するよ」
淡々とした口調で一気にそう言って、どうする、ともう一度ツァウベルンが訊いた。探る視線でさらに深く問われて、ビュクセは考えようとしたが、何も考えられなかった。考えるまでもないのだ。
「……問題ない」
短く答えた。即答に近い言葉に、ツァウベルンが意外そうに目を開いた。
「いいのかい?」
ビュクセは小さく、けれどはっきりと頷いた。
例えば、彼の使いが持ってきた契約書類にそんな注意書きが添えられていたとしても、自分は迷わずサインをしただろう。
「俺は、貴方を護りたいと思って、ここへ来た。それが第一条件で……それ以外のことは、瑣末なことだ」
迷いなくビュクセが言った。ツァウベルンが、僅かに表情を歪めた。
「まいったな、君は本当に……君の、そういうところが……」
片手で顔を覆うようにして呟いてから、苦い笑みを浮かべて、少し恨めしげにビュクセを見る。
「人の気持ちを瑣末なこととは、ちょっと酷いんじゃないかな?」
「あ……いや、そういうつもり……じゃ」
「へえ? じゃあ、大事にしてくれるのかな、私の気持ちも」
「そ、それとこれとは、また話が」
しどろもどろなビュクセの返答に、ツァウベルンが小さく声を上げて笑った。懐かしい感じのする笑い方だった。
「ふふふ、いいよ、今は別に」
すっかり立ち直ったらしいビュクセの主は、椅子に座ったまま上目遣いにビュクセを見上げて、楽しそうに続ける。
「あとは瑣末なことなんだろう? 私が何をしても、何を言っても、構わないってことだよね?」
「…………」
黙り込んだビュクセに蕩けるように目を細めて、好きだよ、とまた微笑んだ。



今まで抑えていた&久しぶりの再会でいきなりがっついてしまうツァウベルン。
饒舌なわりに本心を隠すことに慣れてしまってうっかり告白するのを忘れていたツァウベルン。
という二本立てでお送りしました。
今後は当主(次期?)と警護隊長のお話も書いていこうと思います。

ED後のお話なので直接的にツァウベルンを示すときはツァウベルンと書かないようにしようと途中まで進めていたのに面倒くさくなって投げ出したのがバレバレです。資料集に出てるのかなー、本名。

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