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空想デイズ

期間限定(?)幻水ティアクライスのプレイメモ&呟きブログ。 女性向けの腐った視点が含まれますのでご注意下さい。 ロベルト贔屓。

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願い迷い/主ロベ

2月の最後の更新をと思ったらいつのまにか日付を跨いでいました。
もう3月ですね!皆さまいかがお過ごしでしょうか!
私は改めてロベルトの可愛さを噛み締めています。いろんな方のロベルトを拝見しては、あーやっぱりロベルト可愛いわーとにまにまします。
ツンデレって良いよね!

というわけでちょっと久々の主ロベSS。
サイナス突入前。

ずっと守り続けたいものがある。ずっと昔に誓って、今も、願っていること。
いつまでも近くで見ていたいものがある。一番近くで、誰よりも近くで。
それはどちらも本当のことで、比べようもなく、大切なものなのに……。


決戦が近い。
近くに人の気配は少ないのに、城内の慌しい空気が、静まった剣師団詰所の中まで伝わって、どこか落ち着かない気分になる。
いや、本当は、落ち着かないのは、すぐ近くにいる人間のせいかもしれない。
ロベルトは剣を磨く手を止めて、先ほどから詰所に入り浸っている、城の主に目を向けた。
「……おい」
「んー?」
カナイは詰所の大きなマドに張り付くようにして、上方から落ちる水の流れを眺めている。
ロベルトは呆れたような口調で、呑気な様子の団長に訊ねた。
「おまえ暇なのか」
「え? ああ、まあ」
「…………」
そんなはずはない。
サイナス突入を間近に控えて、城の人間は皆、準備に追われている。総大将がのんびり滝を眺めている余裕などあるわけがない。
「な、なんだよ」
「別に」
あからさまなロベルトの溜め息を聞きつけて、さすがにカナイが振り返った。ロベルトは肩を竦めてそっけなく返す。カナイが小さく頬を膨らませた。
「ロベルトだって、さっきから暇そうじゃん」
「なっ! お、おまえ……!」
確かに、冥夜の剣士団の面々も今は、決戦前に片づけておくべき依頼や物資の補給に出払っていて、詰所に残っているのはロベルト一人だ。ただ、その割り振りを決定しているのも目の前の少年のはずで……そこに、何かの意図があるのかどうかは、ロベルトにはわからない。
ロベルトは手にした剣を握りなおして、カナイに示した。
「武具の手入れだって大事な務めだ。おまえと一緒にするな!」
「なんだよー。別に怒んなくたって」
「怒ってない! 事実を言っているだけだ」
それでも、出て行けとは、ロベルトも言う気にはなれなかった。
決戦が近い。それは、どんな形であれ、終わりが近いということだ。
こんな、時間も。
「……カナイ。おまえ、この後どうするつもりなんだ?」
持ち直した剣に目を向けたが、相変わらず手は止めたままで、ロベルトがぽつりと訊いた。カナイが、怪訝そうに問い返す。
「どうするって、何が?」
「戦いが終わったあと、だよ。村に帰るのか?」
「うーん。まだ、あんまり考えてねえけど」
答えながら、マドから身体を離して、ロベルトの傍らに腰掛ける。ロベルトは、顔を上げてカナイを見た。
「……けど?」
「どうするかな。ここの生活も気に入ってるけど、村のことも心配だし。でも……」
ロベルトを真っ直ぐに見て、カナイは口元に小さな笑みを浮かべた。
「淋しくなるな。ロベルトがいなくなると」
「……は?」
唐突な言葉に、ロベルトは目を丸くする。
「だって、おまえは国に帰るだろ?」
「あ、ああ。それは、もちろん……」
言われるまでもなく当然のことだった。取り戻したといっても、アストラシアに残る戦の傷跡はまだ深い。祖国の再興は、自分達の悲願だ。
何を措いても、大切なこと。
カナイは、いつもの、裏表のない明るい顔で笑う。
「仕方ないけどさ。もう二度と会えないわけでもないんだけどさ。なんだかんだでけっこう、長いこと近くにいたから……やっぱ、なんか淋しいなあ」
「お、おまえは……」
震えそうになる声を、ロベルトは喉から絞り出した。刀身に触れた指に力が入りそうになって、慌てて手を開く。
「オレに、残ってほしい、のか?」
カナイが小さく、息を呑んだ。浮かべた笑みを消して、一瞬、真剣な顔で。
「……いや、別に?」
「なっ!」
「ははははははっ! うそ、それはさすがに嘘だけど!」
短い、あっさりとした返答に、思わず剣を取り落としたら、弾かれたようにカナイが笑い出した。
「お、おまえな!」
「だってさー、オレが残って欲しいって言ったら、おまえ本当に残りそうなんだもん」
「そ、そんなわけないだろ! 誰がおまえの為になんか……!」
「わかってる、わかってるって」
可笑しそうにいながら、カナイはロベルトの落とした剣を拾い上げる。黒い刀の、剣士団の証。
「ロベルトがどんだけクロデキルドや、剣士団のみんなを大事に思ってるか。どれだけ、自分の国が大切で、守りたいって思ってるか。オレはよーく知ってる」
「……おまえ」
「だから、おまえはおまえの守りたいものを守ればいいんだよ。オレは、そういうロベルトを見ていたい。だからいいんだ。別に海越えるわけでもねえし、会いたけりゃいつでも会えるし」
カナイは軽い口調で言いながら、拾い上げた剣をロベルトに向かって差し出した。ロベルトは、黙ったままそれを受け取った。
「な?」
同意を求めるように、首を傾けてカナイが笑う。
手の中の剣の重みから目を逸らすように、勢い良くロベルトが顔を上げた。
「オレは……っ!」
「ん?」
「あーっ! カナイ、こんなところに!!」
問い返すカナイの声を掻き消すように、入り口の方から叫び声が届く。
「げっ、マリカ!」
「げじゃない! この忙しいのにこんなところで油売って!」
「別にサボってたわけじゃなくてな! ロベルトと今後のことを……」
「言い訳はいいからさっさと来なさいよ! まったくもう」
「いててててっ、引っ張るなよマリカ! ロベルト、またな!」
足早に詰所を横切って来たマリカは、カナイを捕まえると、同じ勢いでカナイを引っ張って出て行った。
取り残されたロベルトは、黒く光る刃を見下ろして、続く言葉が見つからないままもう一度、小さく呟いた。
「オレは……」


どうして大切なものをたった一つしか選べないのだろう。
そんなふうに何かを決め付けるものと、自分たちは今、戦っているはずなのに……。


なんかロベ主っぽけど主ロベなんですよっと。(主張)
ED後の剣士団からの出向っていう立場がロベルトらしくてすごく良いなーと萌えと同時にじんわりするんですが、そこに到達するまでにはすごい葛藤があっただろうなと。
でも主人公も同じくらい葛藤してたらいいです。ロベルト寄り視点なのでわかりにくいですが、最初と最後はどちらも当てはまるつもりで書いています。
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幻水シリーズ大好き。
普段は主に乙女ゲーをプレイしています。
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