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空想デイズ

期間限定(?)幻水ティアクライスのプレイメモ&呟きブログ。 女性向けの腐った視点が含まれますのでご注意下さい。 ロベルト贔屓。

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雪の花/ツァウビュク

スフィールがすごくかわいいと思います。大好きです。
そんなスフィールとビュクセが仲良しだったらとてもかわいいんじゃないかなと妄想してみた。
無言の会話!
で、ツァウビュク+スフィール的なものを書こうと思いましたがやっぱり会話にならないので、エリンちゃんが友情出演。

グラスの中でオレンジ色に染まった雪が、さらりと溶けて崩れた。
「……雪、おいしい……?」
「…………」
スフィールに問われ、ビュクセは少し考えてから、こくりと頷いた。雪そのものがおいしいかと言われればよくわからないが、雪で適度に冷やされたこの飲み物は確かに美味だ。そういう意味でいいのだろう。
「……よかった……」
「…………」
満足そうに、スフィールが小さく微笑んだ。ビュクセも、もう一度頷いた。そこへ。
「おや、なんだか珍しい組み合わせだね!」
聞き覚えのある声が届いた。ビュクセはなぜかびくりと反応して、グラスを揺らした。偶然通りかかったらしいツァウベルンが、興味深げに寄ってくる。
「何を飲んでいるんだい?」
ビュクセの手の中のグラスを覗き込む。溶けかかった雪がまだ、ゆらりと中で揺れている。
「雪……」
「…………」
「飲み物の中に、スフィールさんが雪を入れてくれるんです」
要領を得ないスフィールの答えと、黙ったままのビュクセ――答える気がなかったわけではなく、どこから説明したら良いのか迷ったのだ――に見かねたように、カウンターの内側からエリンが答えた。
「冷たくておいしいですよ。ツァウベルンさんもいかがですか?」
「それはおもしろいね。では、いただこうかな」
「はい。飲み物は何を?」
「じゃあ……」
もう一度、ビュクセが握っているグラスをちらりと見る。
「彼と同じものを」
エリンがはいと頷きながら微笑んだ。ビュクセはなんとなく、そのやり取りを黙って見つめていた。
「……雪」
ぽつりと小さな呟きが聞こえた。スフィールが、ビュクセに向けて、続けて呟く。
「……溶ける……」
グラスの中で消えていくのを惜しんだのだろう。ビュクセは小さくなった塊に目を向けて、またゆっくりと、グラスを口元に寄せた。
「今日のビュクセ君は、なんだか楽しそうだね」
そんなビュクセの様子を見て、ツァウベルンがどこか嬉しそうにそう言った。ビュクセが怪訝な目を向けるのと同時に、グラスに飲み物を注ぎながら、エリンも首を傾げた。
「そうなんですか……?」
「ああ! 空気がとても穏やかだ。彼が仲間と一緒に部屋にいるときも、こんな感じだね。だけど」
ツァウベルンはビュクセを見て、悪戯っぽく片目を瞑った。
「私が来ると少し戸惑ったような顔をする。ちょっとさみしいね」
「…………」
ビュクセは答えに困ってやはり沈黙する。そういうところが苦手なのだ、とは言い出しにくかった。エリンが苦笑して、ツァウベルンを窘める。
「そんなふうに言うから、ビュクセさんも困ってしまうんじゃないですか?」
「そうなのかな? 私としては、ビュクセ君にはもっと心を開いてほしいんだが」
「…………」
ちらりと投げられた視線から、ビュクセは思わず目を逸らした。何故かいつも、ペースを乱される。
彼が高貴な存在だから、自分にとっては敬うべき、守るべき相手だからだろうか。近くにいると気になってしまう。気配を追ってしまう。もっと広くに気を配らなくてはいけないのに。いつも、冷静でなくてはならないのに。
「へえ、なんだか綺麗だね」
エリンからスフィールの手を経由して、ツァウベルンにグラスが渡った。オレンジ色の液体に沈んでいく雪を、子供のように好奇心に輝かせた目で見つめて、楽しそうに呟く。それからそっと、グラスに口をつけた。
「……うん。これはいいね」
ゆっくりと味わってから、表情を綻ばせた。気に入ったようだ。
「きっとこの城の名物になるよ」
「名物、ですか?」
エリンが不思議そうに聞き返す。
「ああ。戦いが終わっても、きっとここはたくさんの人が行き来して、多くの人に愛される場所になる。そうやってここに集まる人の、疲れと渇きを癒す、名物にね」
「そう……ですね。素敵です」
ツァウベルンの言葉にゆっくりと頷いて、エリンが微笑んだ。グラスを回して中で踊る雪を楽しみながら、ツァウベルンはちらりとビュクセに目を向けた。
「ね、君もそう思わないかい、ビュクセ君」
「…………」
突然問われても、ビュクセにはわからなかった。戦いの後のことなんて。自分は国へ戻り、また国のために戦うとしか。だから、この地がその後どうなるかなんて、考えてみたこともない。けれど。
ビュクセはゆっくりと頷いた。彼がそう言うのなら、そうなのだろう。
ツァウベルンは嬉しそうに微笑んで、一気にグラスを傾けた。まだ溶けきらない雪が残っていたが、構わずにすべて。
「うん、雪もいいね!」
「……そう。雪、おいしい……」
空になったグラスを掲げてスフィールに笑いかけると、スフィールも小さく笑みを浮かべて答えた。ツァウベルンは満足したように頷いて、さて、と呟く。
「せっかくの静寂の時間を、私などが邪魔をして申しわけなかったね。あとはごゆっくり」
「いや……」
その場を離れようとするツァウベルンに、咄嗟に言葉が出た。
「そんなことは……ない」
邪魔だとは思っていないということを伝えたかっただけなのだが、まるで引き止めているみたいだ。出てきた声に後から思考が追いついて、ビュクセ自身が戸惑った。目の前でツァウベルンが、カウンターの向こうでエリンが、驚いたように瞬きをした。スフィールはそっと微笑んでいる。
「そうか……それではもう少し、ここにいてもいいかな?」
彼にしてはどこか自信のなさそうな声音で、ツァウベルンが訊ねた。他に返しようもなく、ビュクセは黙ったまま、ぎこちなく頷いた。
ツァウベルンが、ほっとしたように微笑んだ。何を不安に思ったのだろう。彼ほどの人物が。
「もう一杯、お願いできるかな」
「はい、もちろん」
ツァウベルンとエリンの会話を聞きながら、なんとなく居た堪れない気分になって、ビュクセはグラスに視線を落とした。
喋った拍子に揺れて波打ったオレンジ色の液体の中、最後の雪が、白い余韻を残して消えた。


ビュクセはスフィールにちょっとズレた言葉を教わっちゃって、最終的にはツァウベルンの勧誘に「ふつつかものですが」って答えたらいいと思う。
飲み物の雪はすぐに溶けちゃうんじゃないかと思いますが、決戦前夜の会話を見てもよくわからなかったのでそのあたりはスルーでお願いします。
ところでうちのビュクセは何気にツァウベルンのことが大好きみたいです。
ちなみにSSがビュクセ視点ばかりなのは、私がツァウベルンが大好きなのに、ツァウベルンのことがよくわからないからです。普段どんなこと考えてんのかなあ、あの人・・・。
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和泉
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自己紹介:
幻水シリーズ大好き。
普段は主に乙女ゲーをプレイしています。
お休みの日はイベント行ったりライブ行ったり舞台観たりのオタクライフ。
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