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空想デイズ

期間限定(?)幻水ティアクライスのプレイメモ&呟きブログ。 女性向けの腐った視点が含まれますのでご注意下さい。 ロベルト贔屓。

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冥加の夜/主ロベ

いつの間にやら連休も終わっていました。って、日曜までずっと連休だった方もいるのかな?
私はスパコミの日と、別にもう一日お休みがありましたが、そっちは若手俳優集団のイベントを観に行ったりしていて、要は肝心のSSはほとんど進みませんでしたっていう。
たらたらしている間に拍手やコメントありがとうございます!レスはまた改めて!

というわけでなんだか時間がかかってしまいましたが。
もう某様のサイトと某様のサイトでご覧になった方もたくさんいるかと思いますが、先日のチャット時になぜか宿題を出し合った「酔っ払いロベルト」です。
うちのテーマは「酔っ払いロベルト、デレ度upバージョン」です。
っていうか・・・ツンがない・・・ほぼデレ・・・です。
常よりもさらに校正が適当なので誤字脱字文法誤りなどあったら優しく指摘してやって下さい・・・。

城の中からどっと歓声が起こった。
閉じられた裏口の戸を突き破って漏れ聞こえる喧騒に、カナイは小さく笑みを零す。剣士団の誰かが演説でも始めたのかもしれない。
ファラモンが協会の手から解放されてすぐ、息をつく間もなく防衛の為の準備に入った為、祝宴が先延ばしになっていた。再度侵攻して来た協会の軍隊を押し返し、アスター団の本拠地に戻ってようやく、ファラモン解放の宴が催されていた。
カナイにとっても嬉しいことだったから、始めこそ一緒になって大騒ぎしていたのだが、アストラシア出身のものたちや彼らに縁のあるものたちが、礼を言いに酒を注ぎに次々集まってくるのに、さすがに疲れて途中で抜け出した。感謝されることなど何もしていないと言うのに、英雄だ恩人だと騒がれるのは少し困る。
桟橋に腰掛けて、湖からの風に酔いを醒ましていると、突然がたんと戸が開いた。一瞬、食堂からの喧騒が大きくあたりに響いた。
「カナイ! おまえ、こんなところに!」
「うわ! びっくりした。なんだ、ロベルトか」
勢いよく飛び出してきたロベルトの背後で戸が閉まり、またすぐに城内の騒ぎが遠ざかる。
「なんだとはなんだ! だいたいおまえ、主賓が勝手に抜け出すな!」
「だから主賓じゃねえって! ちょっと風に当たってただけだし……って、危ねえ!」
怒鳴りながらよろよろと歩み寄ってきたロベルトが、カナイの目の前で躓くようにバランスを崩した。とっさに伸ばした腕の中に、抱きつくように倒れ込んでくる。
「おい、大丈夫か!?」
「……ありがと、う」
一瞬、小さく震えた身体から、消え入りそうな声が届いた。コケそうになったのがそんなに怖かったのかとカナイは少し驚いたが、続いた言葉に思い違いに気付く。
「おまえのお陰だ、本当に。こんなに早く、ファラモンを取り戻せたのは……」
「あ……ああ、いや、だから別に」
「うるさい。黙れ。いいから礼を言わせろ」
「黙れ、っておまえなあ」
ずいぶんと強引な礼だ。カナイは溜め息をついたが、ロベルトは何故かおかしそうにくすくすと笑い出した。カナイにしがみつくようにしていた身体を反転し、隣に座り直す。気分が良いのか、しつこく笑っている。
「ああ、本当に、気持ちの良い夜だな!」
「……おまえ、かなり酔ってんな?」
「酔ってない! ぜんぜん酔ってない!」
明らかに酔っ払いの戯言だ。カナイは二度目の溜め息をついた。ロベルトは気に留めず、酒で上気した顔を夜風に晒している。
「こんなに嬉しい夜は久しぶりだ……。そう、あの、黒き刃の剣を賜った、あの日以来だな」
しみじみと呟く声に、カナイが顔を向けた。黒き刃の剣。それは、冥夜の剣士団の一員である証。
「でもあれは、目標への第一歩だった。これでようやく戦える、自分の手で、祖国を取り戻すために……そう思って、すごく嬉しかった。でも、だから、本当に夢見ていたのはこの日だったんだ。この喜びは、あの日の比じゃない」
ファラモン陥落の際はまだ一従士でしかなかったロベルトが、厳しい修練を積み重ね、最年少で黒き剣の帯刀を許されるまでに至ったという話は、カナイもメルヴィスから聞いて知っていた。しかし、ロベルトが祖国奪還にどれだけ強い思いを抱いていたかは、そんな話を聞かなくても、カナイにもわかる。
「そう、か」
柔らかく、カナイが呟いた。そんな短い返答にも、上機嫌なロベルトはただ黙って笑みを浮かべていた。なんだかいつもと勝手が違い、戸惑いながらカナイは間を繋ぐ言葉を探した。
「じゃあ、次を考えねえとな!」
「つぎ?」
不思議そうにロベルトが問い返す。首を傾けてカナイを見る表情もいつになく無防備で、何故かどきりと鳴る胸の音をごまかすように、カナイは大きく頷いた。
「ああ! だってひとまず、おまえの目標は達成したんだろ? なら、次の目標がないとさ」
「なんだ。そんなの決まってる!」
胸を張るように肩を逸らして、得意げにロベルトが宣言する。
「まずは、協会を倒す!」
「あ……ああ。そりゃそうだよな」
「それからもっと修行を積んで、メルヴィス殿のような立派な剣士になって……いつか、絶対に追い越す! それにアストラシアも、復興にはまだまだ時間がかかるだろうし、頑張らないとな。姫様もいずれ王位につかれるだろうが、それまでも、それからも、オレはあの方に仕えて、あの方の役に立ちたい。それはメルヴィス殿も、グントラム殿も……フレデグンド様も同じだろうが。ああ、アスアド殿はどうするんだろうな?」
不確かな未来を次々と思い描いて、また可笑しそうにロベルトが笑う。本当に、今夜はとても楽しそうだ。
けれど、アストラシアのこと、剣士団のこと、出てくる話はそればかりで、それがほんの少し気になって、カナイは思わず口を挟んだ。
「……オレは?」
「はあ?」
小さく零した声を聞き漏らさず、ロベルトが怪訝そうに問い返した。
「そん時はオレはどうしてんだよ?」
「おまえ? おまえのことなんか知るか!」
「そっ……そりゃそうだろうけどさあ!」
どうしてそんなことを気にしたのか、カナイ自身にもよくわからない。ひとつの道の協会を倒す。自分たちが協力しているのはその為で、そこから先には別々の未来がある。そんなことはわかっている。けれど。
ロベルトが希望を込めて見る未来。そこに、ひとかけらすら、自分の姿がないのが、なんだか……。
「じゃあおまえは決めてるのか? この戦いの後、おまえ自身がどうするのか」
口を噤んだカナイに、反対にロベルトが訊いた。カナイは答えようとしたが、やはり上手く想像できない。
「それは……オレもまだ、考えてねえけどさ」
「ほらみろ! おまえにわからないのに、オレが知るわけがないだろう!」
「ああもう、わかった! オレが悪かったよ!」
耳元で声を上げるロベルトの身体を押しやり、諦めてカナイは溜め息をつく。さすがに苛立たせたかと思いロベルトの様子を伺うと、上機嫌な酔っ払いはまったく気にしていないようで、でも、とまた穏やかに口を開いた。
「おまえはひとつところに落ち着くようなヤツじゃないだろうな。あちこちでいろんな問題に首突っ込んで大騒ぎしてんだろう、今と変わらずにさ」
「なんだよ、それ」
「きっと大勢の人がおまえの名前を口にする。アストラシアにいても、おまえの動向は耳に届く。世界中がおまえに注目するようになる……たぶん、それくらいの器がある。おまえには」
「え……?」
傍迷惑な騒がしい奴のように言われて頬を膨らませかけたカナイが、続けられたロベルトの言葉に目を瞠った。驚いた。
どうやら褒められているらしい。ロベルトに。それも、かなり手放しの賞賛で。
ロベルトは遠くを見るように目を細めて、わずかに俯いた。
「おまえは、他人のことにも自分のことみたいに一生懸命になるから……そんなおまえに引きずられて、助けられて、感謝するヤツがたくさんいる。オレのように。そんなヤツらがいろんな場所でおまえの話をして、その声はきっとオレの元にも届く。それで、オレはおまえに負けないようにって、また、頑張って」
「ロベルト……」
普段ならこんな言葉は絶対に聞けない。確かに、少しは認めてくれているのはわかっていたけれど。カナイは珍しく緊張して、ロベルトの横顔を窺った。伏せられた目。
「でも、たまにはファラモンにも顔を見せろよ。姫様が……きっと、会いたがる……オレも、またおまえと手合わせしたいし……」
「あ、ああ」
「またこうやって一緒に酒を呑んだり、いろんな……話、を、したり……同じものを、見た……」
「ロベルト?」
だんだんとか細く消えていく声に、カナイが小さく名を呼んだ。すると、急に力を失ったロベルトの体が傾いで、カナイの肩に凭れかかる。
「うわっ、おい、ロベルト!?」
「……一緒、に……」
最後にまだ何か呟いていたが、カナイの耳には届かなかった。それきり、途切れた言葉の代わりに、繰り返される規則正しい呼吸。
「寝た、のか?」
小声で訊ねたが、返答はなかった。一気に脱力して、カナイはため息をつく。突然のことに驚いて高鳴った心臓を押さえながら、このままでは身動きが取れないと、ロベルトの身体を引き剥がして横たえた。
ロベルトは小さな呻き声を上げたが、目を覚ましそうにない。
「こいつ、明日になったら何も覚えてなさそうだよなあ」
しょうがねえなあと苦笑混じりに呟きながら、傍らで気持ち良さそうに寝息をたてるロベルトを見下ろした。整った顔立ちを、月明かりが仄かに照らしていた。いつも気を張って、不機嫌そうな表情をしているロベルトだが、こうしているとごく普通の少年のようだった。
何か掛けるものでも持ってきてやった方がいいだろうか、そう思ったが、何故か視線が繋ぎとめられたように動かない。柔らかそうな髪。唇が、薄く開いている。
ふいに、無意識に伸ばしかけた手に気がついて、カナイは慌てて立ち上がった。一層強く、大きく胸が鳴った。何をしようとしたのか、よくわからない。
「……ああ、もう!」
ぐしゃりと自分の髪をかき混ぜるようにして吐き出して、わざと音を立ててロベルトの身体を跨いだ。ロベルトは身じろぎしたが、それだけだった。
カナイはそのまま城内へ繋がる扉に手を掛けて開き、まだ宴の続く食堂に向けて声を張りあげた。
「メルヴィス! 悪いけど手ぇ貸してくれ、ロベルトが潰れた!」

翌朝。
「あ、ロベルト!」
ふらふらと詰所から出て来たロベルトに気がついてカナイが声を掛けたが、ロベルトはそのままくるりと踵を返そうとした。
「おい、ちょっと待てって!」
咄嗟に駆け寄って、腕を掴む。二日酔いらしいロベルトは顔色にも生気がなく、逃げ損なってあっさりと捕まった。
「なんだよ、離せ! オレは忙しいんだ!」
「あ、おまえ、その態度。昨夜のこと、まともに覚えてんな?」
「なっ、なんのことだ! オレは普通に酒を呑んでいただけで、おまえにそんな言い方をされるようなことは……!」
「そうかー? だっておまえ、オレに抱きついて泣きながら礼を言ったり、オレがいないと淋しいとか言ってたぞ?」
「そんなことオレが言う、わけ……ないだろう!」
ロベルトの声が不安定に揺れたが、最後は押し切って否定した。馬鹿、とおまけがついた。カナイはなんとなく、深い溜め息を吐き出した。
「あー、なんか、落ち着くなあ」
「はあ!?」
「いや、ロベルトはその方がいいや。な?」
「なんなんだ、おまえは!」
怒鳴りつけた自分の声が頭に響いたらしく、ロベルトは直後に顔を顰めた。カナイはその表情を覗き込んで大丈夫かと訊ねながら、昨夜浮かんだ不可解な感情の答えを探すのは、ひとまず先送りすることにした。


明らかにデレすぎた・・・。
追加で「微エロス」という指定があったんですが爽やかにスルーです。せっかくなのでいちおう、初ちゅー話に繋がるような雰囲気だけ醸してみました。
団長はなんか、恋っていうより、ちゅーしたいとか触りたいとか、そういう感情が先でもいいかなって!
ロベの最後の「一緒に」の後はお好きな言葉をご想像下さい(笑)

あ、ちなみに翌朝のロベルトは「なんとなく覚えているけどそれが全てなのか自信がない」という感じです。ロベルトはこの前にメルヴィスからお説教されていますが、メルヴィスは教育半分悪戯半分の気持ちでロベルトの様子を3割増し過大に表現しました。私の中のメルヴィスのイメージはたぶんなんかおかしいです。

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