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空想デイズ

期間限定(?)幻水ティアクライスのプレイメモ&呟きブログ。 女性向けの腐った視点が含まれますのでご注意下さい。 ロベルト贔屓。

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だからその手を/ツァウビュク

ツァウベルンとビュクセを書くときはだいたいスガシカオを聴いているんですが、たまたま今日、今さらレンタルしてきた「娘たま♀」を聴きながらSS書いてたらまったく筆が進まなくてどうしようかと思いました。
なんて相変わらずどうでもいい話題から。

続きますと言ってまだ書いていなかった「だからこの手に」の続き。勧誘ネタです。
勧誘とか引き抜きとかのネタはもちろんいろんな方が書(描)いていて、それはもういろんな発想があるわけですが、自分の中ででもいろんなネタがあって、最近すごくぐるぐるします。もうどんなシチュエーションでももえる。ツァウベルンとビュクセならなんでもいいんじゃないかという気さえする。
しかしとりあえずひとつ書いて、満足してみます。
でもなんかもっとこう・・・双方向矢印が出る感じになるはずだったのになんか・・・ビュクセが言いくるめられたみたいになった・・・。

「軍などやめて、私のものになりたまえ!」
貫くようにビュクセを見て、ツァウベルンが宣言した。
いきなり話が飛躍したような気がして、ついていけずにビュクセは沈黙した。戸惑いが伝わったのだろうか、ツァウベルンはひとつ咳払いをして、これは失礼、と呟いた。
「ちょっと表現が直接的すぎたね。要点を言おう。君には、私の護衛を頼みたいんだ」
「……護衛?」
そう説明をされてもビュクセはまだ意味をよく理解できずに、言葉を繰り返す。任務としてという意味だろうか。それならば自分に直接依頼をせずに、軍を通してくれたほうが話が早い。それくらい、容易な立場にいるはずなのだから。
そんな疑問さえも口に出す以前にツァウベルンが読み取って――もしかしたら彼の中ではこの会話の終わりまで全てシミュレーションされているのかもしれない――的確な補足を付け加えた。
「一度きりのミッションじゃなく、私の直属として、常にガードをして欲しいという意味だ。軍からの出向というのも可能だろうが、いざというときの命令系統や優先順位が混乱するとやっかいだからね、先に言ったように軍から離れて私の元へ来てもらいたい。簡潔に言うと、引き抜きだよ」
「引き抜き……」
短い単語を繰り返すばかりのビュクセに、ツァウベルンが小さく苦笑を浮かべる。
「そんなに戸惑うことかな?」
「……なぜ、俺に?」
最大の疑問を、ビュクセは口にした。ツァウベルンは不思議そうに大きく目を開いた。
「もちろん、君の能力を買っているからだよ。有能な人材を欲しがるのは、当然のことだろう!」
「…………」
ビュクセは緩く首を横に振った。彼は買いかぶり過ぎていると思った。
もちろん、戦闘の能力ならビュクセも人に劣るとは思っていない。けれど、有能というのはまた、それとは違うことだ。もっと、いろいろなことに秀でているということだ。
戦闘以外の、会話や、相手の心を推し量ることや、そんな人としての様々なものが欠けていると、そんな風に評されるビュクセにとっては、身に余る評価だ。
そう、最初に彼の方が言ったのではなかったか。暗殺者に向いている、と。
「俺には……銃しか、ない。護衛には向かない」
「君は、自分のことをあまり知らないね!」
静かに答えたビュクセに、ツァウベルンがきっぱりと言い返した。ビュクセは眉を顰めてツァウベルンを見る。
「……そんなことはない」
軍は常に適所へ人を配する。自分に与えられた、沈黙の狙撃手という二つ名。上層部にしか知られない特務機関への配属。向かう先は暗に知れている。彼の、指摘したとおり。
「そんなことなくはないさ!」
ツァウベルンは力強くそう言い切って、にやりと楽しげな笑みを浮かべた。ビュクセはなんとなく嫌な予感がして、ますます眉間の皺を深くする。
「だって君は、自分が脇をくすぐられるのに弱いということも知らなかっただろう!」
「……っ! あ、あれは!」
今までそんなことをビュクセにする人間はいなかったし、そもそも彼以外の相手にならそんな不覚は取らない。しかし、ツァウベルンは勝ち誇ったように笑みを深くする。
「ほら、君は自分の弱点すら知らない」
「そんなこと……」
「それだけじゃない。君は自分がどんな風に笑うのかも知らないだろう。自分の考えを人に伝えようとしないから、その言葉がどれくらいの影響力を持つのかも知らない。君の考えに相手がどんな反応を返すかも知らない。私がどれだけ君の手を必要としているかもわかっていない」
最後は少し淋しげに呟かれた。反論を封じられて、ビュクセは唇を噛んだ。
ツァウベルンは目を細めて、柔らかく訊ねる。
「ねえ、知りたくはないのかい? 君は、君自身のことを」
「俺は……」
抗うように口を開いたつもりだったが、自分でも、力のない声だとわかった。
ツァウベルンの言葉はどこか捉えどころがなくて、彼の操る不可思議な術のように、予想外の場所から気付かないうちに、一瞬で傍らに忍び寄る。
「君の周りの誰もが気になって、けれどある種の聖域のように誰も触れようとはしなかった、君自身のいろいろなこと」
一瞬で懐に忍び込む。弱いところをついてくすぐる。
「私なら、ひとつずつ暴いて、見せてあげるよ。だから」
ツァウベルンはビュクセに向けてまっすぐに手を伸ばした。ビュクセはその手のひらを見て、そして。

やがてツァウベルンの顔に張り付いた固い笑みが、本物の笑顔に柔らかく綻ぶのを、見た。



なんか思った以上にツァウビュクっぽく・・・!あれ、いいことなのかな?

その後ビュクセは、こんなこと知らなくてよかったのに・・・!っていう弱点までいろいろと暴かれて後悔することになるわけです。

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